ラドレミソ
阪田寛夫氏が言われる「どれみそら」という言葉の範疇には、短調で主音の2度上、6度上がない五音音階「ラドレミソ(ラ)」が含まれているのか、よくわからないことに気がついた。小泉文夫氏の本「音楽の根源にあるもの(平凡社ライブラリー)」のp.317で、「ドレミソラ」と「ラドレミソ」を分けて考え、「ラドレミソ」を"私がこれこそ日本の一番大切な音階だということを指摘するまでは、日本の旋法、日本の音階としては全然のってなかった音階。いままでの日本人が全部非教育的として踏みつけにしてきたもの"としている。(この文章の初出は1975年だが、その時点において)近年この音階の入った流行歌が出始めているとし、例としてかまやつひろしの「我が良き友よ」を挙げている。
多分この「近年」には入らないと思われる1961年の「青春歌年鑑」CDが手許にあったので調べてみたら、見事なことに「ラドレミソ」は30曲中1曲、しかも「スタコイ東京」という、地方から東京へ出る息子に母親が「東京は危ないところだから気をつけろ」と諭す趣旨の歌であった。ちなみに「有難や節」などは「ラシドミファ」という形の五音音階である。
では小泉氏がこの文章を発表した4年後の1979年はどうか。こちらは正続とも「青春歌年鑑」を持ってるので調べると、実はこの頃も七音音階が大半であった。「ラドレミソ」は48曲中1曲で、柳ジョージとレイニーウッドの「雨に泣いてる」。ただこれを「日本人が昔から持っていた音階」とすべきなのかは、私には判断しかねる。ちなみに「与作」は音階に「シ」が入ってるので違う。
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