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2007.10.11

CD「永平寺の朝」

野々村馨著「食う寝る坐る永平寺修行記」を読んで、改めて棚から引っぱり出して聴いてみたCD。
「食う寝る坐る永平寺修行記」は興味深かった。何度も朝の電車の中で読んでいる。いろいろなblogに掲載されたこの本の感想の中に、どなたか「音の描写が印象深い」と書かれていた方がいた。私も同感であった。

中盤に、1分50秒間隔で鳴らされる「大梵鐘(おおぼんしょう)」が収録されている。「食う寝る坐る-」によると、朝に18回打たれる大梵鐘を「暁鐘(きょうしょう)」と呼ぶが、14回目は弱く打ち、雲水達の公務開始の合図とするよう定められている。熟練した僧が体で覚えた感覚で120BPMのテンポをたたくように1分50秒間隔を打つのかなと私は思っていたが、それは間違いであった。野々村氏は「すべてが恐怖と隣り合わせ」の初期の修行生活の中で、時計の秒針の動きを気にかけつつ、手許の目印の小石を動かしたか不安を覚えつつ、一瞬頭の中が真っ白になりながら暁鐘を打った、と書いている。その緊張感を含んだ音をありがたく感じながらも、寝床に入ってヘッドホンで聴くと余韻が心地よく、途中でどうしても寝入ってしまって、弱くなる14打目が聴けない。

暁鐘に限らず、ここで聴ける木版、雲版、太鼓など、1日に鳴らされる合図すべてが互いに連携し、細かい作法、規則にのっとって行われていることがわかった。そう思って聴くと、同様に自然音をバックに長い時間単位で展開する岡野弘幹「MUSIC OF WIND」とは、やはり違った感じである。

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