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2006.12.08

一志治夫著「魂の森を行け」

各地の「潜在自然植生」に基づく植林活動を精力的に進める植物生態学者、宮脇昭氏の人生。
以下、ほとんど個人的な体験談になります。あしからず。

11月25日に刈谷に帰省したとき、父の運転する自動車に乗って、ちょうどきれいな赤や黄色に色づいた街路樹を見た。不意に父が「ここでは宮脇先生の指導で植林やってるところもある」と言った。「宮脇先生って、……宮脇、昭?」ここ十何年、とうに頭のなかに埋もれていた人の名前が甦った。
私は中学生の時、宮脇昭氏の著書「人類最後の日-自然の復讐」を読んで、大きな衝撃を受けたのである。生態学という言葉も、この本から知った。とにかくすごい勢いの文体が印象的であった。高校で生物部に入って植生調査の真似事をしたのも、大学で農学部林学科に入ったのも、その原点といえば「人類最後の日」だった。
そういえばこの人、今どうしているだろうと検索してみたら、宮脇氏は20年以上経った今も、変わらぬ勢いで突っ走っている。最近はNHK教育「この人この世界」にも出てられたし、毎日新聞のサイトで講演や植林のスケジュールが紹介されているではないか。どうして私はこういう情報を延々と見逃したのか。

中学生の頃から自分の意識もずいぶん変わってしまったけど、この1週間は車窓から木々を見るのが楽しくてしかたがない。今住んでいる辺りの潜在自然植生、つまり人間の活動の影響が全くない状態で現出する森林はシラカシ林であるという。そういうところを探し歩くのが、この冬の楽しみになりそうだ。鎮守の森の代表的存在である明治神宮の森の興味深い成り立ちと楽しみ方が「魂の森を行け」8章に書かれていた。私は毎日地下鉄でくぐるだけだったが、時間を見つけて行ってみたい。何より、その勢いあふれるという講演を、耳にしてみたい。

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