ピンボールは辛抱
LittleWing社のピンボール"Monster Fair"の感想です。
ピンボールの専門用語が随所に出てきますので、詳細についてはLittleWing社サイトの「ピンボールで遊ぼう」のページをご覧ください。また、Monster Fair独自の用語は斜体で示してあります。
最初の2ヶ月くらいで835Millionというハイスコアをマークしましたが、その後半年以上ブランクが発生しました。河村さん(JINNI ZEALAチャンピオン)のサイトにMonsterFairについて「出るのは愚痴とため息ばかり。スリングショット恐怖症」というコメントを書いたことがあるんですが、あの頃は完全に投げ出してましたね。
JINNI ZEALAは本当に楽しかったのに、Monster Fairはほぼすべてのプレイにボールを落とすリスクがあって、楽しむどころではないのです。スリングショット上のボールのハネ具合は未だに予測がつかないので、とりあえずバウンドを抑える方向にナッジしてます。ボールをデッドフリッパーバウンスでホールドしようとしても、同じようなボールが20回に1回くらい、フリッパー上でボールがハネずに止まって、下に流れ落ちることだってあります。もちろんこれらはプログラム上の計算がいい加減ということではなく、ボールの向きと速度が微妙に違えば、微妙に違った反応をするってことなのでしょう。しかし、実際のボールって、そこまで敏感に反応するほど重量感ないですか、と思ったりもするのです。
少しは上達したな、という感触を初めて得たのは、ブランクから復帰してずいぶん後のことです。しかもそれは右回りオービットレーンを狙って通せるようになったという、ほんのささいなことでした。
その後GHOST WHEEL狙いの確実性が向上して7個目のエクストラボールが可能になったこと(8,9個目は未だに取れず)。さらにある程度LoopやLodeoを稼いだ後は通常のプレイでもざくざく点が入っていくことで、ようやく面白さを見出せるようになりました。後はできるだけ頓死を防ぐ。どんな唐突なボールの動きにも対処できるよう、練習あるのみと。…こうなると、何だか体育会系とか反復学習の世界ですよ、ピンボールが。
そんな折、電車の中で読んでた「養老孟司の《逆さメガネ》」という本で、こんな文章に出くわしました。
シミュレーションをやって、その結果作った宇宙船がちゃんと飛ぶ。そういうことに都会人は感心します。日々手入れをして、作物をちゃんと育てる。そのつもりが冷害で、収穫がなかった。そんなことは、逆にしたがりません。あんなことして、バカだなあと思っている。(中略)「シミュレーションが効かない状態がある」ということを、絶対に認めないんですよ。答えをいっときますが、そういう状態になったら、努力・辛抱・根性しかないんですよ、じつは。だけど都会の人はこの三つが大嫌いなんだから。なんとか楽な方法がないかと思っている。(39?40ページ)
もちろんMonster Fairのことを言ってるのではなくて、「今の社会の大人はおしなべて"意識"ですべてをコントロールしようとする"都市人間"になってしまった。そんな人は"自然"そのものである子供を完全にコントロールできない状況を恐れている」という文脈での記述です。でも、あまりに実機(人工物ではあるが自然物といえなくもない)に近付いたピンボールシミュレータにも、子育てと同じで努力・辛抱・根性をもって接すべし、と言われてるような気がしたのでした。ま、それが経験を積むことそのものでしょうし、ね。
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