間宮芳生著「現代音楽の冒険」
CD「シルクロード・ジャーニー~出逢い~」で、間宮氏の「5つのフィンランド民謡」が演奏されてるのに因んで、ずっと読まずに放置していた岩波新書「現代音楽の冒険」を読んでみた。私が彼の作品を聴いたのは、このCDと、1回何かの合唱曲と、それくらいである。昨年から音楽に関する本を(消化しきれないけど)何冊か読んだおかげもあって、今度は何とか読み進むことができた。
本書では曲が作品の形になるまでに彼がしたこと、考えたこと、突然示される仮説とその証明、6ページに渡る歌詞全篇掲載など、あっちこっちに話題が飛んでいく。しかし、話の中心には常に「民俗文化(基層文化)の音」が持つ「霊的な力=まじないなどの音の記号性」があり、彼の作品はその力を引き出し「聞きかえ=文化の異種交配」によって現在の都市に再現させるねらいがある、という。それを実現した例として、バルトークによって抽出されたハンガリーの伝承音楽や、ジャズなどを挙げている。
同時代の作曲家たちがどのように状況に向かい、どうやって音を形にしたか、それと比較して自らはどうしてきたかの記述が興味深い。さまざまな過程を経て現在自分は何をしているかを語りかけたところで、本が唐突に終わってしまう。新書ではなかなか得難い衝撃であった。
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ちなみにこの本は1990年初版です。
あ、間宮芳生氏は
「火垂るの墓」の音楽を作られたのですね。
投稿: fu_r | 2005.01.25 12:44