CD「日本のダンス・ミュージック」
1991年キングレコード。「日本の民族音楽」10枚シリーズの1つ。
小島美子氏の解説によると、"日本の音楽のうち「ノリのいい、踊れる音楽」を集めた"。海洋地域の人が漁などで小舟を操って培ったスウィング感、山村の人が斜面で仕事をする時の柔軟な体の使い方を反映した躍動感、馬の産地での、やはり躍動的なリズムを感じることができる。でも本当は踊るのを見る(or自分で踊る)のが一番なのだろうな。
買ってもう12年か。12曲目「郡上節~春駒」15曲目「牛深ハイヤ節」18曲目「六調」がすごく好き。
以下、個人的な話も含めて、ちょっと。
「すごい。ほとんど全部、変拍子じゃないか!」と思った。というか、今も思っている。
確かに秋田音頭を2拍ごとに手拍子を打つことはできるでしょう。でもこれは、通常接してる西洋音楽の2拍子とは違う。手を打ってるうちに、あれ、裏拍じゃないか、と心配になる瞬間がある。CDには入ってないけど草津節でも
「も、コリャ、はなが」のあたりで、何かを頭で計算している自分がいる。唄に合わせて湯もみをしてるのをTVで初めて見た時は「うわ、よくやってるなあ」と思った。
西洋音楽ではたいがい小節2つでモチーフ(動機)を作る、モチーフ2つで小楽節を作る、小楽節を2つ合わせて、合計8小節の大楽節を作るといった、何かを2つずつ重ねていくという作業をやっていく。そういう構造、日本のこれらの曲では存在していないようだ。「春駒」「牛深ハイヤ節」に至っては何拍子かさえわからない。それがとても好きなのだが。リズムに唄をはめ込むのではなく、唄がリズムを規定してこうなった、ということも言えるのかもしれない。
「日本音楽の再発見」という本で、團伊玖磨氏と小泉文夫氏は、これを「シンメトリーや繰返しを意識的に否定することによって、日本人が作り上げた形」としている。
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