駆け足ぃー!
今朝の日経「健康」面に、「古武術の身のこなしを採りいれることで、中高年者の体への負担を軽減し、ケガを防ぐことに役立つのではないか」という記事があった。その典型的な動きとして、体をひねらずに歩いたり走ったりする「ナンバ」を紹介、走り方の図などが掲載されている。ちょっとマネしてみたが、上手くできたかわからない。長距離走でヘトヘトになった時に体を前に投げ出し、重力を借りて走ることがあるが、あんな感じだろうか。
ちょうど今読みなおしている、小倉朗著「日本の耳(1977)」の第二章「日本の手と足」でも、江戸時代以前の体の動きなどが紹介されており、武智鉄二著「伝統と断絶」からの引用で「農耕生産の基本の形」としての「ナンバ」を採りあげている。そこに、武術家でない昔の農民の動きがどうだったか、どうして明治以降の日本人の身のこなしが変わったかを示唆する記述がある。
これではとても、戦場では役に立つわけがない。以下さらに武智鉄二から引用をつづけると、「農民兵を中心とした鎮台兵は、実戦ではとうてい旧職業武士群の敵ではなく、(中略)」その重要な欠点は、「集団移動ができない。行進ができない。駈け足ができない。突撃ができない。方向転換ができない。匍匐前進ができない」などなどで、たとえば西南戦争のとき、動員された官軍は、「熊本鎮台ほか7旅団、5万8000人に及んだが」「1万5000に足らぬ薩軍に歯が立たなかった」明治政府はその対策として、ヨーロッパ式体操と西洋音楽によるリズム教育を義務教育に導入して強兵の策をとり、国民の運動や姿勢をかえ、あげくに、伝統的な舞踊や劇の仕種との断絶を招いた、と述べている。(33ページ)
集団移動ですか。行進ですか。私も農民の末裔として(突撃と匍匐前進を除けば)昭和40~50年代の体育の授業でやりました。駆け足ができるようになってよかったです(笑)。
そういえば、過日、大河ドラマ「新選組!」の山南さんの独特の歩き方に気づき、今日も注目してましたが、確認できず残念。すっと立ちあがるところはありましたが。
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